業務委託の源泉徴収|対象になる報酬と10.21%の計算、確定申告での精算
業務委託の報酬が源泉徴収されるかは、報酬の種類で決まります。国税庁が示す対象の区分、10.21%と20.42%の計算、支払調書の見方、確定申告での精算を表で整理します。
業務委託の報酬が源泉徴収されるかどうかは、報酬の種類で決まります。原稿料やデザイン料など国税庁が示す報酬は、支払額の10.21%(同じ人への1回の支払いで100万円を超える部分は20.42%)が差し引かれます。差し引かれた税は前払いのようなもので、確定申告で1年分の税額と精算します。
対象にあたらない報酬は、業務委託でも源泉徴収されずに満額で支払われます。
源泉徴収の対象になる報酬は、どれ?
個人に支払う報酬のうち、源泉徴収の対象は次の区分です(国税庁、令和8年4月1日現在法令等)。
| 区分 | 主な例 |
|---|---|
| 原稿料や講演料など | 原稿料、講演料、デザイン料、著作権の使用料、通訳料 |
| 特定の資格を持つ人への報酬 | 弁護士、公認会計士、税理士、司法書士など |
| 診療報酬 | 診療報酬の審査支払機関が支払うもの |
| スポーツ選手・モデル・外交員などへの報酬 | プロスポーツ選手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人 |
| 芸能関係の報酬 | 映画・演劇・音楽などの出演料 |
| 接客業の報酬 | ホステスなど |
| 役務の提供を約束して一度に支払う契約金 | プロ野球選手の契約金など |
| 広告宣伝のための賞金など | 事業の広告宣伝のための賞金、馬主への競馬の賞金 |
謝礼や車代など名目が違っても、中身がこれらの報酬と同じなら対象になります。反対に、区分にあたらない報酬は源泉徴収されません。支払う側が個人で、給与を支払っていない場合(常時2人以下の家事使用人だけに給与を払っている場合を含む)も、ホステスなどへの報酬を除いて源泉徴収はされません。
源泉徴収される額は、どう計算する?
報酬の種類ごとに計算のしかたが決まっています。1円未満の端数は切り捨てます。
| 報酬 | 計算 | 例 |
|---|---|---|
| 原稿料・デザイン料など(1回100万円以下) | 支払額×10.21% | 11万円なら11,231円 |
| 原稿料・デザイン料など(1回100万円超) | (支払額−100万円)×20.42%+102,100円 | 150万円なら204,200円 |
| 外交員・集金人・電力量計の検針人 | (その月の報酬−12万円)×10.21% | 月20万円なら8,168円 |
| 司法書士などの報酬 | (支払額−1万円)×10.21% | 5万円なら4,084円 |
外交員などで同じ月に給与も受け取るときは、12万円からその月の給与を引いた残りを控除します(国税庁)。報酬に消費税が含まれるときは、消費税を含めた額で計算するのが原則です。請求書などで報酬と消費税がはっきり分かれていれば、報酬の額だけで計算できます。この扱いはインボイス制度が始まった後も変わりません。
10.21%は、所得税10%に、所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税を足した率です。令和9年1月以後は内訳が防衛特別所得税1%と復興特別所得税1.1%に変わりますが、合計の10.21%と20.42%は変わりません(国税庁の令和8年度税制改正の資料)。
支払調書や支払明細では、どこを見る?
支払調書は、報酬を支払った側が税務署に出す書類です。原稿料や講演料などは同じ人への1年の支払いが5万円を、外交員などは50万円を超えると提出の対象になり、期限は支払いが確定した年の翌年1月31日です(国税庁)。写しが届くこともありますが、届かないときは支払明細や請求書の控え、入金の記録で確かめます。
| 確かめる項目 | 見るところ |
|---|---|
| 支払金額 | 消費税を含むか、分けて書かれているか |
| 源泉徴収税額 | 支払金額×10.21%などの計算と合っているか |
| 手取りの額 | 支払金額から源泉徴収税額を引いた額が振り込まれているか |
| 源泉徴収されていない支払い | 区分にあたらない報酬か、差し引き漏れかを支払った側に確かめる |
1年分を表にしておくと、確定申告で源泉徴収税額を書くときにそのまま使えます。報酬ごとの明細は、経費の領収書とあわせて保管しておきます。
源泉徴収された税は、どう精算する?
確定申告では、1年間の所得と税額を計算し、源泉徴収された税との過不足を精算します(国税庁)。差し引かれた税のほうが多ければ戻り、少なければ差額を納めます。申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日までです。
確定申告をする義務がない人でも、源泉徴収された税が納め過ぎなら、還付申告ができます。還付申告は翌年1月1日から5年間出せます。給与を1か所から受ける会社員は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。
20万円以下でも、還付申告をするときは他の20万円以下の所得も含めて申告します(国税庁のタックスアンサー、令和8年4月1日現在法令等)。会社員の申告の流れは副業の確定申告で、業務委託の働き方は不動産の業務委託で紹介しています。
よくある質問
源泉徴収されていれば、確定申告はいらない?
源泉徴収で1年分の税額が決まるわけではありません。会社員で給与以外の所得の合計が20万円を超える人は、源泉徴収されていても確定申告をし、差し引かれた税を精算します。
源泉徴収されなかった報酬も、申告に入れる?
入れます。源泉徴収されたかどうかにかかわらず、1年間の報酬から経費を引いた所得を合計して申告します。
源泉徴収は、消費税を含めた額にかかる?
原則は消費税を含めた額で計算します。請求書などで報酬と消費税をはっきり分けて書いてあれば、報酬の額だけを対象にできます(国税庁)。
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