副業禁止はどこまで有効?会社が制限できる4つの場合と、就業規則の確かめ方
会社が副業を制限できるのは、本業に支障が出る場合など、主に4つの場合とされています。自分の会社の就業規則の確かめ方と、届出・許可の進め方を整理します。
厚生労働省のガイドラインでは、会社が副業を禁止・制限できるのは、例えば本業に支障が出る場合、企業秘密が漏れる場合、競業で会社の利益を害する場合、会社の名誉や信用を損なう場合だとされています。勤務時間外の過ごし方は、基本的には働く人の自由です。
ただし、実際のルールは会社ごとの就業規則で決まります。副業を始める前に、自分の会社の規定と届出の方法を確かめ、決められた手続きを済ませてから始めます。
会社は、副業をどこまで禁止できる?
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)では、裁判例をもとに、副業・兼業を禁止・制限できる場合の例として次の4つが挙げられています。
| 制限できる場合 | 考えられる例 |
|---|---|
| 労務提供上の支障がある | 副業による長時間労働で、本業の仕事が十分にできない、健康を損なうおそれがある |
| 業務上の秘密が漏れる | 本業で知った顧客情報や技術を、副業先で使う |
| 競業により会社の利益を害する | 本業と同じ事業を営む他社で働く、同じ事業を自分で始める |
| 名誉・信用を損なう、信頼関係を壊す | 会社の評判を落とすような仕事をする |
厚生労働省のモデル就業規則の解説では、制限が許されるのはこれらのような場合だとしたうえで、会社が規定を拡大解釈して必要以上に制限しないよう求めています。解説で紹介されている裁判例では、夜間や休日の副業で本業に支障がなかった例では解雇が無効とされ、毎日6時間、深夜に及ぶ勤務で本業に支障が出るおそれが高かった例では解雇が有効とされています。
モデル就業規則では、副業はどう書かれている?
要点
厚生労働省のモデル就業規則は、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できると定め、事前に会社所定の届出を求める形です。平成30年1月の改定で、遵守事項にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」が削られ、副業・兼業の規定が新しく設けられました。
モデル就業規則の副業・兼業の規定は、3つの項で組み立てられています。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 勤務時間外に、他の会社等の業務に従事できる |
| 2 | 従事する前に、会社所定の届出をする |
| 3 | 上の4つの場合にあたるときは、会社が禁止・制限できる |
モデル就業規則はあくまで見本で、実際の就業規則は会社ごとに作られます。許可制のままの会社や、条件を細かく決めている会社もあります。
自分の会社の就業規則は、どう確かめる?
会社は就業規則を、職場の見やすい場所への掲示や備え付け、書面の配付、いつでも見られる電子データなどの方法で、働く人に知らせることになっています(厚生労働省 モデル就業規則 令和7年12月版の解説)。社内の掲示板や共有フォルダ、人事の窓口で確かめられます。
| 見る条文 | 確かめること |
|---|---|
| 副業・兼業の条文 | 禁止か、届出制か、許可制か |
| 届出・申請の手続き | 書式、提出先、いつまでに出すか |
| 秘密保持・競業の条文 | 本業と同じ分野の仕事が制限されていないか |
| 労働時間・健康管理の条文 | 副業の時間の報告を求められるか |
ガイドラインでは、会社が副業・兼業を認めているか、どんな条件で認めているかを、社外にも公表することが望ましいとされています。就業規則で判断がつかないときは、人事の担当者に確かめます。
届出制・許可制のときは、どう進める?
届出制でも許可制でも、副業の中身を会社に伝えることから始まります。ガイドラインでは、伝える事項の例として、副業先の事業内容、そこで担当する業務、労働時間の通算の対象になるかどうかが挙げられています。雇われて働く場合は、契約期間、所定の労働日と労働時間、残業の見込みも伝えます。
許可制の会社では、許可が出てから始めます。モデル就業規則の解説で紹介されている裁判例には、就業規則で禁止された兼業にあたるとされた例もあるので、手続きを飛ばさずに進めます。
一方でガイドラインは、副業についての相談や自己申告をしたことを理由に、会社が不利益な取扱いをすることはできないとしています。
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公務員は、副業できる?
公務員は会社員と仕組みが違います。国家公務員は、営利企業の役員を兼ねることが原則として認められていません。
不動産の賃貸などの自営は所轄庁の長などの承認が、非営利団体で報酬を得て続ける兼業は許可が必要です(内閣官房内閣人事局「国家公務員の兼業について(概要)」令和8年4月)。地方公務員は、勤め先の自治体の規程で確かめます。
よくある質問
就業規則に副業の規定がない会社は、届出がいらない?
規定が見当たらなくても、人事の担当者に確かめてから始めると、あとで食い違いが起きにくくなります。秘密保持や競業の規定がほかの条文に書かれていることもあります。
本業と同じ業界の副業は、できない?
会社の利益を害する競業にあたると、制限される場合があります。同じ業界でも仕事の中身によって扱いが変わるので、就業規則の競業の条文と、会社の判断を確かめます。
副業先でも雇われる場合、労働時間はどうなる?
本業と副業先の労働時間は通算されます。所定労働時間は労働契約を結んだ順に足し、1日8時間を超えた分は、後から契約した勤め先での時間外労働になります(厚生労働省)。
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