任意売却とは|住宅ローンが払えないときの競売との違い、流れと相談先
任意売却は、住宅ローンの返済が難しくなったときに、金融機関の同意を得てふつうの取引で家を売る方法です。競売との違い、手続きの流れ、返済方法の変更と相談先をまとめました。
任意売却は、住宅ローンの返済を続けるのが難しくなったときに、お金を借りている金融機関の同意を得て、ふつうの不動産取引として家を売る方法です。裁判所の手続きで売られる競売に比べて、一般に高い価格での売却が期待でき、引き渡しの時期も調整しやすいとされています(住宅金融支援機構)。返済が苦しいと感じ始めた段階なら、売る前に返済方法を見直す道もあります。
数字や手順は、2026年10月時点の住宅金融支援機構の案内によります。
返済が苦しくなったら、まず何をする?
最初の窓口は、いま返済している金融機関です。住宅金融支援機構の住宅ローンでは、事情に合わせて返済方法を変える仕組みがあり、手数料はかかりません。
| 返済方法の変更 | 内容 |
|---|---|
| 失業や病気などで収入が減ったとき | 返済期間の延長など(失業中や収入が大きく減った場合は、元金の支払いの一時休止も) |
| 一時的に返済の負担を減らしたいとき | 一定の期間、毎月の返済額を減らす |
| ボーナス返済が負担になったとき | ボーナス返済の額の変更や取りやめ |
変更には審査があり、変更のあとも返済を続けられることが条件です。返済の総額が増える場合もあるので、提案された返済の予定表を見て判断します。返済を続けるのが難しいとわかったときに、選択肢になるのが任意売却です。
任意売却と競売は、何が違う?
どちらも家を売って借入を返す点は同じです。違うのは、売り方と、その後の暮らしの立て直しやすさです。
| 項目 | 任意売却 | 競売 |
|---|---|---|
| 売り方 | ふつうの不動産取引として、不動産会社を通して売る | 裁判所の手続きで売られる |
| 売却価格 | 一般に競売より高い価格が期待でき、残る借入を減らしやすい | 裁判所の手続きで決まる |
| 引き渡しの時期 | 買う人と調整しやすく、退去後の生活の計画を立てやすい | 裁判所の手続きに沿うため調整しにくい |
住宅金融支援機構の任意売却では、手続きに協力すると、仲介手数料や抵当権の抹消登記の費用などを売却代金から差し引ける場合があります。
任意売却は、どんな流れで進む?
要点
仲介する不動産会社は自分で選びます。売り出す価格は機構が確かめて通知し、その価格で販売します。機構が確かめていない価格で売り出すと、買い手が見つかっても抵当権の抹消に応じてもらえない場合があります。
申出書を出すと、月々の返済を続ける権利を手放す意思表示になり、分割で返している場合は、残りの借入を一括で返すよう求められます(住宅金融支援機構のパンフレット、2026年4月版)。返済方法の変更で返し続けられる見込みがあるうちは、先にそちらを金融機関に相談します。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 「任意売却に関する申出書」を出す |
| 2 | 不動産会社が物件を調べ、価格を査定する |
| 3 | 機構が査定価格を確かめ、売り出す価格を通知する |
| 4 | 不動産会社と専任媒介契約か専属専任媒介契約を結ぶ |
| 5 | 販売活動をし、状況を機構に報告する |
| 6 | 買いたい人が現れたら、機構が抵当権の抹消に応じるかを審査する(2週間程度) |
| 7 | 売買契約を結ぶ |
| 8 | 代金を受け取り、抵当権を抹消する |
最初の媒介契約から6か月たっても買いたい人が現れないときは、機構が任意売却をやめて競売の手続きに移ったり、不動産会社の変更を求めたりする場合があります。機構は、家を明るく片付けておくことや、内見に協力することも求めています。
ふつうの売却の流れはマンション売却の流れ、価格の見方は不動産査定の仕組みで紹介しています。
売ったあとに残った借入は、どうなる?
売却代金で返しきれなかった分は、破産の免責を受けた人を除き、返す義務が残ります。連帯保証人がいる場合も同じです。住宅金融支援機構は、生活の状況をふまえて、返せる額を本人と一緒に決めるとしています。
残りの借入の状況によっては、延滞損害金を減らす相談に応じる場合もあります。売って終わりにせず、その後の返済の計画まで話し合っておくと、暮らしを立て直しやすくなります。
どこに相談すればいい?
- 住宅ローンを返している金融機関:返済方法の変更や任意売却の手続きの入り口です。
- 法テラス(日本司法支援センター):国が設立した窓口で、収入や預貯金が一定額以下などの条件を満たすと、同じ問題について3回まで無料で法律相談ができます。
- 弁護士:住宅ローンのほかにも借入があり、返済方法を変えても返すのが難しい場合について、住宅金融支援機構は個人版民事再生の手続きを紹介し、弁護士などに相談するよう案内しています。
返済が続けられるうちに相談すると、返済方法の変更と任意売却の両方を比べて選べます。相談の前に、借入の残高、毎月の返済額、収入の見通しをメモにしておくと話が早く進みます。
よくある質問
任意売却は、自分の判断だけで始められる?
始められません。家には借入の担保として抵当権が付いているので、お金を借りている金融機関の同意が要ります。住宅金融支援機構の場合は、申出書を出すところから始めます。
近所に知られずに進められる?
住宅金融支援機構の任意売却では、販売はホームページへの掲載が原則なので、まったく知られずに進めるのは難しい面があります。機構の案内には、写真を撮るときは近隣への配慮が要ると書かれています。
任意売却をすれば、借入はすべてなくなる?
売却代金で返しきれない分は残ります。残った分は、生活の状況に合わせて返し方を金融機関と話し合います。
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