賃貸の防音|木造・鉄骨・RCの音の伝わり方と、内見で確かめる点
賃貸の音の伝わりやすさは、構造に加えて壁や床のつくり、部屋の位置で変わります。構造ごとの目安、内見で確かめる点、入居後の対策と相談先を表で整理します。
賃貸の部屋の音の伝わりやすさは、建物の構造だけでは決まりません。壁や床の厚さと重さ、部屋の位置、窓やドアのつくりが重なって決まるので、構造は目安にとどめ、内見で実際の音を確かめると判断を誤りにくくなります。国土交通省の住宅性能表示制度の解説も、遮音の等級と暮らしの中での感じ方の対応には個人差があり、目安にすぎないとしています。
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造で、音の伝わり方はどう違う?
一般に、壁や床が重く厚いほど、話し声のように空気を伝わる音は通りにくくなります。コンクリートの壁や床を持つ建物は重く、木造や軽量鉄骨造は比べて軽い材料でつくられることが多いため、構造ごとに次のような傾向があります。
| 構造 | 音の伝わり方の目安 | 内見で見たい点 |
|---|---|---|
| 木造 | 壁や床が比較的軽く、話し声や足音が伝わりやすいことがある | 隣の住戸と接する壁の位置、上の階があるか |
| 軽量鉄骨造 | 木造と同じく、壁や床のつくりで差が出やすい | 床のきしみ、廊下や隣の音の聞こえ方 |
| 重量鉄骨造 | 床や壁にどんな材料を使っているかで差が大きい | 住戸の間の壁と床の材料を管理会社に聞く |
| 鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC) | 空気を伝わる音は通りにくい傾向。床に響く足音や、配管を伝わる給排水の音は届くことがある | 住戸の間の壁がコンクリートか、上の階の足音 |
表は傾向を示したもので、同じ構造でも建物ごとに差があります。アパートやマンションの住戸の間の壁には、もともと一定の遮音性能が求められています(国土交通省)。そのうえで、どこまで音を抑えるかは建物ごとのつくりで変わります。
住宅性能表示の「音環境」で、何がわかる?
住宅性能評価を受けた住宅なら、評価書の「音環境」の項目で、床や壁の遮音の対策を等級で比べられます。どの項目も、等級の数字が大きいほど音を遮る対策が手厚いことを示します。
| 項目 | 対象になる音 |
|---|---|
| 重量床衝撃音対策(床) | 上の階の足音や、重いものを落としたときの衝撃音 |
| 軽量床衝撃音対策(床) | 椅子を動かす音や、食器など軽いものを落とした音 |
| 透過損失等級(住戸の間の壁) | 隣の住戸からの話し声など、空気を伝わる音 |
| 透過損失等級(窓・ドア) | 道路の車の音など、外から入る音 |
ただ、音環境は評価を受けるかどうかを申請する人が選ぶ項目なので、評価のない住宅もあります。給排水の音、エレベーターの音、扉の開け閉めの音、上下の階の話し声は評価の対象外です。等級は一定の条件での性能で、完成後の実測値を保証するものではありません(国土交通省)。賃貸の部屋に評価書があるかは、管理会社に聞いて確かめます。
内見では、どこを確かめる?
要点
内見では、間取り図で隣の住戸と接する壁の位置を確かめ、窓を閉めた状態で外の音がどのくらい小さくなるかを聞きます。水まわりの位置と、建物の周りの環境もあわせて見ます。
| 確かめる点 | 見方 |
|---|---|
| 隣の住戸と接する壁 | 寝室やベッドを置く位置と重ならないか。収納が間にあると、壁に直接接しない |
| 窓とサッシ | 窓を閉めたとき、外の音がどのくらい小さくなるか。二重窓か |
| 玄関ドアと共用廊下 | 廊下の話し声や足音が、室内でどのくらい聞こえるか |
| 水まわり | 浴室やトイレが、隣や上の階の寝室側にないか |
| 建物の周り | 道路・線路・お店、ごみ置き場や駐輪場の位置 |
内見は昼間に行うことが多いので、気になるときは、夜や週末に建物の周りを歩いてみると、時間帯による音の違いがわかります。内見でほかに見ておく点は内見のポイントにまとめています。
部屋の位置で、音の聞こえ方は変わる?
変わります。最上階は上の階からの足音がなく、角部屋は隣の住戸が片側だけです。1階は下の階に音を伝える心配が少ない一方で、道路や共用の出入口の音が入りやすいことがあります。エレベーターや階段の隣の部屋は、人の出入りの音が聞こえやすくなります。
音を優先するなら、物件を探す段階で階数や位置を条件に入れておきます。探し方のコツは部屋探しのコツで紹介しています。
入居してからできる対策は?
環境省の生活騒音の資料は、床にマットやカーペットを敷く、洗濯機や冷蔵庫に防振や消音のマットを使う、ドアに隙間テープなどの緩衝材をつけるといった対策を挙げています。夜はヘッドホンやイヤホンを使い、早朝や深夜の掃除機や風呂の給排水を控えると、自分が出す音も抑えられます。
壁に穴をあけたり、吸音材を貼り付けたりする対策は、退去のときの原状回復にかかわります。置くだけの家具やマットで工夫し、壁や床に手を加えるときは管理会社に確かめてからにします。退去のときの費用は賃貸の退去費用と更新料で確かめられます。
騒音で困ったら、どこに相談する?
賃貸では、まず管理会社に相談します。環境省の資料も、最初の相談先として当事者どうしか住宅の管理人を挙げ、そのうえで地方公共団体の相談窓口を案内しています。家庭生活から出る音には法律の規制基準がありませんが、市区町村の条例や指針で配慮を定めている場合があります。
騒音計を貸し出している自治体もあり、名古屋市は、市内に住む・勤める・通学する人が市内で測る場合に、区の公害対策課などで貸し出しています(2025年10月16日更新のページ)。測った値は参考の値という扱いです。
管理会社に相談するときは、音が聞こえた日時と種類をメモにしておくと、状況を正確に伝えられます。
よくある質問
鉄筋コンクリート造なら、音は気にならない?
話し声のような空気を伝わる音は通りにくい傾向ですが、床に響く足音や給排水の音は届くことがあります。感じ方には個人差もあるので、内見で上の階や隣の音を確かめます。
賃貸で楽器を弾いてもいい?
契約書や管理規約で、楽器を弾けるか、弾ける時間帯を確かめます。国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、大音量でのテレビ・ステレオの操作やピアノなどの演奏を、してはならない行為の例に挙げています。弾きたい場合は、楽器を弾ける物件を条件に探します。
騒音が理由で、契約期間の途中に引っ越せる?
契約書の解約の申し入れの期限に沿って手続きします。国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、借りる人は少なくとも30日前に申し入れれば解約できる形です。実際の期限は契約ごとに違うので、契約書で確かめます。
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