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原状回復とは|ガイドラインの負担区分と耐用年数

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原状回復とは|ガイドラインの負担区分と、経過年数の考え方

原状回復は、借りた当時の状態に戻すことではありません。国土交通省のガイドラインが示す傷みの区分、経過年数の計算、修繕の範囲、特約の考え方を表で整理します。

原状回復とは|ガイドラインの負担区分と耐用年数

原状回復とは、借りている人のわざとや不注意、通常の使い方を超える使い方でできた傷みを直すことです。年数がたって古くなった分や、普通に暮らしてできた傷みは、家賃に含まれているものとして貸主が負担します。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が、この考え方と負担の分け方を示しています。

区分と計算のしかたを知っておくと、退去の精算書を一行ずつ確かめられます。

原状回復で、借りている人が直すのはどこまで?

ガイドラインは、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」としています。

善管注意義務とは、借りた物を善良な管理者として注意を払って使う義務のことです。借りた当時の状態に戻すことまでは求めていません。

国民生活センターによると、賃貸住宅に関する消費生活相談は毎年3万件以上あり、そのうち原状回復に関する相談は毎年1万3,000〜4,000件程度で、約4割を占めます(2023年2月公表)。相談は2月から4月に増える傾向があります。

ガイドラインは、傷みをどう区分する?

ガイドラインは、傷みのでき方で次の4つに分けています。貸主が負担するのはAとA(+G)、借りている人が負担するのはBとA(+B)です。

区分 意味 負担 例
A 通常の住まい方、使い方をしていても生じるもの 貸主 家具の設置による床のへこみ、日照による壁紙の変色
B 住まい方、使い方次第で生じたり生じなかったりするもの 借主 引越作業で生じたひっかき傷、落書き
A(+B) 基本はAだが、その後の手入れが悪く、傷みが生じたり広がったりしたもの 借主 カーペットに飲み物をこぼしたあと、手入れをせずにできたシミやカビ
A(+G) Aに当たるが、建物の価値を増やす要素を含むもの 貸主 傷んでいないが、次の入居者のために行う畳の裏返しや表替え

同じ「穴」でも、程度で負担が分かれます。画鋲やピンの穴は下地ボードの張り替えが要らない程度なら貸主の負担で、張り替えが必要なくぎ穴やネジ穴は借りている人の負担の例に挙げられています。たばこのヤニや臭い、結露を放置して広がったカビも、借りている人の負担の例です。

住んだ年数は、負担にどう影響する?

借りている人の負担になる傷みでも、内装や設備は年数とともに価値が下がっているため、新品の費用をすべて払うわけではありません。ガイドラインは、経過年数が長いほど借りている人の負担割合を小さくする考え方をとり、経過年数は入居年数で置き換えて計算します。

壁紙やカーペット、クッションフロアは、6年で残存価値が1円になる直線で負担割合を計算します。入居時に新品だった壁紙なら、3年住んだ時点で残っている価値は計算上およそ半分です。入居の時点の状態をグラフのどこから始めるかは、契約の当事者が確かめて前もって決めておくのが適当とされています。

要点

耐用年数を過ぎた設備でも、借りている人は善良な管理者として注意を払って使う義務を負っています。そのため、年数を超えた設備でも、修繕などの工事の費用を負担することがありえる、とガイドラインは注意を促しています。

修繕する範囲は、どの単位で決まる?

借りている人の負担は、傷んだ部分の補修に限るのが基本です。部位ごとの負担の単位と経過年数の扱いは次のとおりです。

部位 借りている人の負担の単位 経過年数の扱い
壁紙(クロス) ㎡単位が望ましい。傷のある面を含む一面分までは借主の負担としてもやむを得ない 6年で残存価値1円
カーペット・クッションフロア 傷や汚れが複数か所にある場合は、その部屋全体 6年で残存価値1円
フローリング 原則㎡単位 部分的な補修では考えない。全体を張り替える場合は建物の耐用年数で計算
畳 原則1枚単位 畳表は経過年数を考えない
襖 1枚単位 襖紙は経過年数を考えない

部屋全体の張り替えを求められたときは、傷のある範囲と、この単位を照らし合わせます。退去費用の目安と更新料は賃貸の退去費用と更新料にまとめています。

契約書の特約は、ガイドラインと違ってもよい?

ガイドラインは、主に契約のときの参考として位置づけられています。借りている人に通常の原状回復を超える負担を求める特約が効力を持つには、次の3つを満たすことが必要とされています。

  • 特約が必要で、暴利的でないなど、客観的・合理的な理由がある
  • 借りる人が、通常の原状回復を超える修繕などの義務を負うことを認識している
  • 借りる人が、その義務を負う意思を示している

国民生活センターには、契約書に「故意過失にかかわらずクロスや床の張替等は100%の料金を請求する」という特約があったという相談も寄せられています(2026年2月公表)。特約は申し込みの前に読み、わからない点はその場で聞いておきます。敷金の戻り方は敷金・礼金とはで確かめられます。

よくある質問

ガイドラインの考え方は、どの契約にも当てはまる?

ガイドラインは、家賃が市場の相場程度の民間賃貸住宅を想定した、一般的な基準です。契約書の特約が別に定めている場面もあるため、ガイドラインと契約書の両方を見比べます。

入居時からあった傷は、どう示せばいい?

入居の時点で、できれば貸主側と一緒に、写真やメモで部屋の状態を残しておきます(国民生活センター)。ガイドラインにも、入退去時の物件の状況を確かめるリストの例が載っています。退去の日の進め方は退去の立ち会いにまとめています。

納得できない請求を受けたら、どこに相談する?

まず費用の明細と算出の根拠を求めて話し合います。まとまらないときは、消費者ホットライン「188」で、最寄りの消費生活センターなどを案内してもらえます。

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執筆・監修:株式会社WANDY(宅地建物取引業 国土交通大臣(1)第10492号)

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