フルコミッションの不動産営業|歩合制との違いと、報酬・税金の扱い
フルコミッションは固定給がなく、成約の報酬だけで働く形です。固定給+歩合との違い、報酬の決まり方、個人事業主としての税金と経費の扱いを整理します。
フルコミッション(フルコミ)は、固定給がなく、成約したときの報酬だけで働く形です。会社と雇用契約を結ばない業務委託で働く場合は、報酬は給与ではなく事業の収入になり、自分で確定申告をします。固定給+歩合は雇用契約のため、給与として扱われ、最低賃金などの雇用のルールが当てはまります。同じ「歩合」という言葉でも、契約の形で中身が大きく変わります。
固定給+歩合とフルコミッションは、何が違う?
job tagでは、住宅・不動産営業の給与について、基本給に加えて売上に応じた歩合給がつく場合もあると説明しています。この「固定給+歩合」と、業務委託のフルコミッションを比べます。
| 固定給+歩合(雇用) | フルコミッション(業務委託) | |
|---|---|---|
| 契約 | 会社との雇用契約 | 会社との業務委託契約 |
| 収入 | 毎月の固定給に、成果に応じた歩合給が加わる | 成約に応じた報酬だけ |
| 成約がない月 | 固定給は支払われる | 報酬は発生しない |
| 時間の使い方 | 会社の勤務時間に沿う | 自分で決めやすい |
| 税金 | 給与所得。会社の年末調整で精算 | 事業所得など。自分で確定申告 |
雇用で歩合給が中心の場合は、実際に働いた時間に応じた一定の賃金(保障給)を支払うことになっています。固定給が賃金全体のおおむね6割以上を占める場合は、この保障給の対象になりません。
歩合給にも最低賃金は適用され、固定給と歩合給がある場合は、それぞれを1時間あたりに換算した合計で最低賃金と比べます(厚生労働省「スタートアップ労働条件」)。業務委託は雇用ではないため、報酬の決まり方は契約の中身で決まります。
ただし、契約の名前が業務委託でも、働き方の実態から労働者と判断されれば、労働基準法などが適用されます(厚生労働省)。
フルコミッションの報酬は、どう決まる?
要点
報酬は、報酬の元になる額(仲介手数料など)に率を掛け、決められた費用を差し引く形が多くあります。率の高さだけで比べず、元になる額・差し引かれる費用・支払いの時期まで、契約の前に確かめます。
| 確かめる点 | 聞くこと |
|---|---|
| 報酬の元になる額 | 仲介手数料だけか、広告料なども含むか。税込か税抜か |
| 報酬の率 | どの額に掛かる率か。変わる場合の条件 |
| 差し引かれる費用 | 月額の費用、成約ごとの手数料、書類作成などの費用があるか |
| 支払いの時期 | 締め日と支払日 |
| 集客の手段 | 相談してくれる人を、自分で見つけるのか |
報酬の元になる仲介手数料には上限があります。上限の計算は仲介手数料の上限にまとめています。
税金と経費は、どう扱う?
業務委託の報酬は、給与ではなく、事業の収入として扱います。1年分の収入から必要経費を引いた所得を、原則として翌年2月16日から3月15日までに確定申告します(国税庁 No.2020)。個人事業主としての始め方は不動産の個人事業主でも整理しています。
必要経費になるのは、収入を得るために直接かかった費用と、業務上の費用です。自宅の家賃や通信費のように、仕事と暮らしの両方に使う費用は、仕事に使った部分を記録などで明らかに区分できる場合に限り、その部分を経費にできます(国税庁 No.2210)。
| 費用の例 | 扱い |
|---|---|
| 案内や打ち合わせの交通費 | 仕事の分を経費にできる |
| 名刺・広告の費用 | 経費にできる |
| 加入しているサービスの月額費用 | 仕事のための費用なら経費にできる |
| スマートフォン・ネットの通信費 | 仕事に使った割合を区分して経費にする |
| 自宅の家賃 | 仕事に使う面積などで区分して経費にする |
帳簿をつけて青色申告をすると、所得から最高65万円を差し引けます。複式簿記で記帳して期限内に申告すると55万円、さらにe-Taxで申告するか、要件を満たす電子帳簿で保存して届け出ると65万円、それ以外の青色申告は10万円です(国税庁 No.2072、令和8年4月1日現在の法令等)。
青色申告の承認申請は、原則としてその年の3月15日まで、1月16日以後に事業を始めた場合は始めた日から2か月以内に出します(国税庁 No.2090)。
フルコミッションは、どんな人に合う?
フルコミッションは、収入の形よりも、時間の使い方を自分で決めたい人に合いやすい働き方です。固定給がないぶん、成約までの期間に収入がない月があることを前提に、生活費の見通しを立てておきます。
| 合いやすい人 | 固定給+歩合が合いやすい人 |
|---|---|
| 本業の収入があり、空いた時間で取り組みたい | 毎月の収入を一定にしたい |
| 知り合いから住まいの相談を受けることが多い | 会社の集客や先輩の同行で経験を積みたい |
| 帳簿づけや確定申告を自分で進められる | 税金の手続きは会社に任せたい |
成果に応じて報酬を受け取る働き方の全体は成果報酬型の副業にまとめています。
成約ごとに報酬が出る仕事は、営業の副業でも種類ごとに比べています。
よくある質問
フルコミッションは、会社員の副業でもできる?
業務委託の契約なら、本業を続けながら取り組む人もいます。始める前に勤め先の就業規則を確かめます。勤め先で年末調整を受けている場合、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。
成約がなかった年も、確定申告はいる?
報酬がなく経費だけがかかった年も、帳簿をつけて申告しておくと、その年の収支が記録に残ります。申告がいるかどうかは、ほかの所得とあわせて国税庁の案内や税務署で確かめます。
フルコミッションでも、重要事項説明は自分でする?
重要事項説明は宅地建物取引士が行います。宅建を持っていない人が担当する範囲は、勤め先や契約先の仕組みによって違うため、契約の前に確かめます。
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